家の外にまでゴミが溢れ出したゴミ屋敷は、その異様な外観によって地域社会との間に深刻な「近隣トラブル」を引き起こす最大の火種となります。住人本人にそのつもりがなくても、その家の存在自体が周囲の住民の平穏な生活を日々脅かし続けるのです。近隣トラブルとして最も頻繁に発生するのが「悪臭」と「害虫」の問題です。庭に放置された生ゴミや汚水の入ったペットボトルなどが腐敗し強烈な悪臭を放ちます。その臭いは風に乗って周辺に拡散し隣家は窓を開けることすらできなくなります。またゴミの山はネズミやゴキブリ、ハエといった害虫・害獣の絶好の繁殖場所となります。これらの害虫が隣の家の敷地にまで侵入し衛生的な被害を及ぼすことも少なくありません。次に「景観の悪化」によるトラブルです。ゴミで埋め尽くされた家の外観は街並みの美観を著しく損ないます。これにより地域の不動産価値が下がるのではないかという懸念から他の住民との間に対立が生まれることがあります。また子供たちが怖がってその家の前を通りたがらないといった問題も発生します。さらに深刻なのが「物理的な危険」に関するトラブルです。庭に積まれたゴミが台風や強風で飛ばされ隣の家の車を傷つけたり窓ガラスを割ったりする可能性があります。またゴミの山が崩れて隣家の敷地や公道にはみ出してくることもあります。そして何よりも怖いのが「放火」による火災の危険性です。家の外にまで積まれた可燃物は放火の格好の標的です。ひとたび火災が発生すれば隣家を巻き込む大惨事になりかねません。この「いつ火事になるか分からない」という恐怖は隣人にとって計り知れないほどの精神的ストレスとなります。これらのトラブルは最初は回覧板での注意喚起や自治会での話し合いといった穏便な形で解決が試みられます。しかしそれでも改善されない場合、行政への通報や最終的には訴訟といったより深刻な対立へと発展していくのです。
ゴミ屋敷の外観と近隣トラブル