「どうしてあんなに部屋が汚かったのだろう」。今でこそ「元汚部屋住人」としてきれいな部屋で生活していますが、かつての自分を振り返ると、その心理は複雑でした。片付けられないのは単に「だらしない」からだと自分を責めていましたが、実はそこには様々な心理的要因が絡み合っていたのです。私の場合、最も大きかったのは「圧倒される気持ち」でした。部屋全体を見渡すと、あまりにも物が多すぎて、どこから手をつけていいか途方に暮れてしまうのです。その途方もない作業量を想像すると、片付けを始める前から疲れてしまい、結局何も行動に移せないという状態でした。まさに「思考停止」に陥っていたと言えるでしょう。また、「完璧主義」も片付けを阻む要因でした。どうせやるなら徹底的にきれいにしたいという思いが強く、少しでも理想と違うと「もうダメだ」と諦めてしまうのです。中途半端に片付けるなら、いっそ手を出さない方が良い、とさえ思っていました。さらに、物への「執着」も強かったと思います。「いつか使うかもしれない」「思い出があるから捨てられない」という理由で、不要な物を溜め込み続けていました。それらの物一つ一つに過去の自分や未来の期待を重ねてしまい、手放すことができないでいました。このような心理状態の悪循環が、部屋をさらに汚くしていったのです。しかし、これらの心理と向き合い、小さな成功体験を積み重ねることで、少しずつ変化が訪れました。元汚部屋住人である私が伝えたいのは、片付けられないのはあなたの意志が弱いからだけではないということです。その背景にある心理を理解することが、汚部屋からの脱却への第一歩となるのです。