ゴミ屋敷問題において、地域包括支援センターは非常に重要な役割を担っています。高齢化が進む地域社会において、一人暮らしの高齢者がゴミ屋敷状態に陥るケースが増加する中で、地域包括支援センターは、その問題解決の中心的な拠点として機能することが期待されています。地域包括支援センターの役割の第一は、「相談窓口としての機能」です。地域住民や民生委員などから寄せられるゴミ屋敷に関する相談を受け付け、その情報を集約します。相談内容に基づいて、状況の初期アセスメントを行い、問題の深刻度や住人の状態を把握します。この段階で、単なる住環境の問題だけでなく、認知症の初期症状、うつ病、ホーディング障害といった精神的な問題、あるいは経済的な困窮や社会的な孤立が背景にある可能性を考慮し、多角的な視点からアセスメントを進めます。次に、「適切な支援機関への繋ぎ役」としての役割です。地域包括支援センターは、医療、介護、保健、福祉など、様々な分野の専門機関やサービスに関する情報を持っています。アセスメントの結果に基づき、住人のニーズに合った医療機関（精神科など）、介護サービス、生活困窮者支援団体、弁護士など、適切な専門機関へと繋ぎます。この際、住人が支援を受け入れることに抵抗がある場合は、粘り強くコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことで、支援への同意を得るための調整役も果たします。さらに、「多職種連携の中心」としての役割も重要です。ゴミ屋敷問題は、複数の要因が絡み合うため、ケースによっては保健師、社会福祉士、ケアマネジャー、医師、弁護士など、多様な専門職が連携して対応する必要があります。地域包括支援センターは、これらの専門職や関係機関が協働するための会議を企画・運営し、支援計画の策定や進捗管理を行うことで、包括的かつ継続的な支援を実現します。また、ゴミ屋敷問題の「再発防止に向けた支援」も行います。片付け後の住居環境維持のためのアドバイスや、生活習慣改善のためのサポート、地域の見守り体制への組み込みなど、住人が安定した生活を送れるよう長期的な視点で支援を続けます。地域包括支援センターは、ゴミ屋敷問題解決の最前線に立ち、住人の尊厳を守りながら、地域全体の福祉向上に貢献する重要な存在です。