ここでは、ある架空の事例を通じて、ゴミ屋敷の掃除費用がどのように算出されるのか、その具体的な流れを見ていきましょう。依頼主は、遠方に住む息子さん。一人暮らしの70代の母親の家が、ゴミ屋敷状態になっているとの相談です。現場は、2DKのアパート。業者が現地調査に訪れると、全ての部屋の床が腰の高さまでゴミで埋まり、特にキッチン周りは生ゴミの腐敗が進み、異臭と害虫が発生している状況でした。この状況を踏まえ、業者が提示した見積書の内訳は以下の通りです。まず、「基本作業費」として、作業員3名×2日間の人件費と、車両費(2トントラック2台分)が計上されます。これが約20万円。次に、最も大きな割合を占める「廃棄物処分費」です。ゴミの総量を2トントラック2台分と算出し、一般廃棄物の処分費と、冷蔵庫・テレビといった家電リサイクル料金を合わせて約15万円。そして、この現場ではオプション作業が必須と判断されました。キッチンと浴室、トイレの「ハウスクリーニング代」が5万円。長年染み付いた臭いを除去するための「消臭・消毒作業費」が5万円。そして、大量に発生したゴキブリやハエを駆除するための「害虫駆除費」が3万円。これらの費用を全て合計し、最終的な見積もり金額は48万円となりました。業者からは、作業内容について詳細な説明がありました。まず、ゴミの中から通帳や現金、写真などの貴重品を丁寧に捜索・分別しながら搬出します。その後、水回りを中心に徹底的なクリーニングを行い、最後に専用の噴霧器を使って、部屋全体の消毒と消臭作業を実施するという流れです。息子さんは、その明確な説明と詳細な見積もりに納得し、契約を決断しました。この事例のように、ゴミ屋敷の掃除費用は、様々な要素が組み合わさって算出されます。見積書の内訳をしっかりと確認し、作業内容に納得した上で依頼することが、後々のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。